PineScript入門

はじめに #

PineScriptはトレードのインジケータを作成するための言語です。
独自の言語なので少し癖があります。
この記事では、 Quickstart guideで紹介されているインジケータを解説します。

対象のインジケータのコード #

//@version=4
study("MACD")
fast = 12, slow = 26
fastMA = ema(close, fast)
slowMA = ema(close, slow)
macd = fastMA - slowMA
signal = sma(macd, 9)
plot(macd, color=color.blue)
plot(signal, color=color.orange)
  • Line 1: //@version=4
    この行はコンパイラにスクリプトのバージョンを伝えるコメントです。
  • Line 2: study("MACD")
    MACDというチャートの名前を定義しています。
    studyはインジケータ、strategyがEAを意味します。
  • Line 3: fast = 12, slow = 26
    2つの変数を定義しています。
  • Line 4: fastMA = ema(close, fast)
    EMA(Exponential Moving Average)を計算した結果をfastMAに代入します。
    emaはビルトイン関数です。
    closeのシリーズを元に計算し、期間はfast(12)です。
  • Line 5: slowMA = ema(close, slow)
    4行目と同じですが、期間はslow(26)で、slowMAに計算結果を代入します。
  • Line 6: macd = fastMA - slowMA
    fastMA と slowMA の差を求めmacd変数に代入します。
  • Line 7: signal = sma(macd, 9)
    macdを使って、SMA(Simple Moving Average)を計算し、signal変数に代入します。
  • Line 8: plot(macd, color=color.blue) macd変数を青線でプロットするため、plot関数を使用します。
  • Line 9: plot(signal, color=color.orange) signal変数をオレンジ線でプロットするため、plot関数を使用します。

MACDを実行すると次のようなチャートが見れます。
MACD

study と strategy #

strategyはバックテストの実行に使用されます。
studyの実行に比べて、strategyはstrategy.*()のような売り・買いの実行をブローカーエミュレーターに対してシミュレートします。

studyはバックテストには使用できず、ブローカーへの注文もしません。
その分少ないリソースで高速に実行できます。

Strategyはデフォルトでは、履歴バー毎に実行されますが、価格変更毎に実行することも可能です。
詳細: Execution model

Series #

PineScirptで使用される主なデータ型はSeriesと呼ばれます。
これは現在から過去のバーに遡り、各バーに1つの値を持つ連続リストです。
これは他の言語で言うところの配列のようなものだと思われがちですが、そう考えるのはよくありません。
詳細: Series

PineScriptの実行モデル #

PineScriptは他の一般的な一度実行されて止まって終わりの言語とは異なっています。
各履歴バー毎に一回だけ実行されます。
ただし、最新のリアルタイムバーの場合は、価格やボリュームの変更が検知されたタイミングで一度実行されます。
また、履歴バーが閉じたタイミングで一度実行されます。

参考 #

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